パニック障害の精神分析療法とは?内容や効果的なケースについて
精神分析療法はパニック障害の治療などにおいて利用されている精神療法のひとつ。
精神分析療法は、治療を目的とするのではなく、あくまでも、患者が精神に障害を負った原因を分析するためのものです。
精神分析療法は、20世紀を代表する精神科医と呼ばれるフロイト博士が提唱した治療法。患者の無意識に着目した治療法です。
スポンサーリンク
【目次】
精神分析療法とは?
この精神分析療法を提唱したフロイト博士が重視した三原則というものがあり、「フロイトの三原則」とも呼ばれています。
- 人間の思考や行動は、無意識状態でおこなわれている動機に大きく定められていること
- 幼児期に実際に起こった体験を重視すること
- 治療の際に「転移」「抵抗」の操作が重要であること
これらの三原則にそって、精神分析療法が始められます。
過去にさかのぼって原因をつきとめる
精神分析療法では「自由連想法」という技法が使われます。
医師と患者とで1対1になったり、カウンセラーと患者とで1対1になります。イスにゆったりと座って、患者は自由に思い浮かんだものを話していきます。
その内容を受けて医師やカウンセラーが質問をして、より深く堀りさげていきます。
そうやって患者の過去へさかのぼっていって、精神に障害を負うことになった原因(トラウマ)を突き止めるのが目的となります。
何回かくりかえして、トラウマを見つける
精神分析療法は1回で終わるものではありません。週に1回などの頻度でくりかえしおこないます。医師がそのトラウマに気づくこともあれば、患者さん自身が自分で話をしていく中で気づくこともあります。
こうして原因であるトラウマが判明すれば、それに合わせた治療をしていきます。
患者が精神障害やPTSDを患っている場合、そのほとんどは過去の出来事が原因とされています。特に、幼少期に家族から何らかのストレスを受けるような状況にいた子供は、大人になっても無意識下に覚えていて、それが原因で発症したというケースが多いもの。
精神分析療法はその原因である「過去のできごと」を探るための手法となっています。
スポンサーリンク
脳は忘れても体は覚えている
パニック障害をはじめとする精神障害は、患者自身も何が原因なのかを知らないことが多いもの。また、幼少期に負ったトラウマが原因となっていることも少なくありません。
人間の脳は悪いことは忘れようとするものですが、体の細胞はそのできごとを記憶しています。
つまり、体は覚えているけれども脳は覚えていないので、そのできごとを頭では意識していないし思い出すこともできない。でも実はそのできごとが原因となっている、ということがあるのです。
このようなケースでは精神分析療法が効果を発揮します。
筋肉の反射で原因を見つけることもできる
精神分析療法ではありませんが、筋肉の反応(筋反射)でトラウマを探る方法もあります。
「そのシーンにお父さんはいましたか?」と患者に聞いても変化はないが、「おばあさんはいましたか?」と聞いた時にだけ、筋肉にチカラが入らなくなる。「オーリング」と似ていますね。
筋肉の反応を見ながら、原因となっている出来事(シーン)には、
- 誰と一緒にいたのか
- どこだったのか
- 何をしていたのか
などを見つけていって、その過去の出来事が何だったのかを見つけるものです。この筋反射によってトラウマを見つける方法からも、「頭では覚えていなくても、体の細胞が覚えている」ということがわかるのではないでしょうか。
では次に、精神分析療法のデメリットについてお伝えします
スポンサーリンク
精神分析療法のデメリット
では、精神分析療法にデメリットはあるのでしょうか。
まず、精神分析療法によって見つけ出したトラウマが、本当にパニック障害の原因となっているものなのか、判断が難しいところです。そのトラウマも原因のひとつかもしれませんが、ほかにも大きな過去のできごとがあるかもしれません。
次に、精神分析療法は、治療の際に思考の方向性を操作するような言動でおこなわなければなりません。そのため、患者のことを深く理解している医師でなければできない治療法といえます。
また、心理の誘導に長けていないと分析することができないので、知識と経験も必要な治療法でもあります。
深い感情を扱うために、やり方によっては危険な面もあるので、精神分析療法より認知行動療法や森田療法を取り入れるケースが多いのではないでしょうか。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「パニック障害」、国立精神・神経医療研究センター~こころの情報サイト「ストレスとセルフケア」
スポンサーリンク