パニック障害の治療の進め方4ステップと治療期間とは?
パニック障害の治療は、
問診 → 体の検査 → 治療方針の決定 → 薬物療法と精神療法による治療開始
という進め方でおこなわれます。では、それぞれの内容と治療期間について説明します。
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【目次】
治療の進め方(1)問診
パニック障害のような心の病気では、時間をかけて問診をおこないます。心や体の症状、悩み、ストレス、普段の生活の様子、仕事、病歴、家族の病歴などについて話をします。
初めての診察では患者さんが緊張するのは当たり前のこと。初対面の医師に対して自分のことをすべて伝えるのは難しいでしょう。
特に、「どんなことにストレスを感じているのか」、「物事に対してどのように考えるか、とらえているか、受け止めているか」といったことを洗いざらい話すのは、すこし勇気がいるかもしれません。ましてや自分で「私の弱いところ」と感じている点についてはなおさらです。
必死に頑張ったからこそのパニック障害
しかし、弱い人がパニック障害になるのではないと思っています。
自分のできないことにチャレンジして、必死にがんばってきたからこそではないでしょうか。その「がんばってきた自分」を認めてあげながら、医師を信頼していろいろなことを話してみましょう。
問診をおこなうのは、初診のときだけではありません。2回、3回と医師と話をするなかで信頼関係も育ってきて、より深いところまで安心して話せるようになるでしょう。
また回を重ねるごとに、自分の生活などを振りかえりながら、患者さん自身が気づくこともあるでしょう。
医師にとっても、患者さんのことをしっかりと理解した上で治療方針を決めたいと考えていますので、問診は2回、3回とくりかえしおこなわれます。
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治療の進め方(2)体の検査
パニック障害であると診断するには、「体の異常が原因ではないこと」が前提。ですので、体の病気からくる症状ではないか、薬物の中毒からくる症状ではないか、ということを確認するために、体の検査がおこなわれます。
ちなみにパニック障害に似た症状の病気として、喘息(ぜんそく)、不整脈、心筋症、甲状腺機能亢進症、てんかん、覚醒剤中毒、などがあります。
体の検査のほかにも必要に応じて、神経の検査、脳の検査、性格診断テスト、心理テストなどの検査をおこなうこともあります。
治療の進め方(3)治療方針の決定
問診や検査結果をもとに、医師が、治療の内容(薬による療法や心理的な療法など)、期間、目標、治療の頻度などの治療方針を話してくれます。患者がその方針に納得してから、治療が開始されます。
治療の進め方(4)治療の開始
治療は、薬によって体の症状(発作)や不安な気持ちをやわらげる「薬物療法」と、医師との対話を通して不安や恐怖を感じやすい気持ち(考え方、とらえ方)を修正していく「精神療法」の2つを組み合わせながら進めていきます。
そして改善の度合いなどをみながら薬の種類を変えていったり、ほかの精神療法を取り入れたりと、アレンジしながら治療を進めていきます。
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治療期間の目安は?
治療期間は症状の重さによって個人差はありますので、目安を紹介します。
- 薬物療法を始めて、3~4週間でパニック発作が軽くなる
- 広場恐怖がある人には、パニック発作がおさまった頃から精神療法を併用する
- 2ヶ月ほどで、予期不安が徐々に軽くなる
- 3ヶ月ほどで、パニック発作がなくなる
- 6ヶ月~1年で、予期不安がほとんどなくなる
- 1年~1年半ほど薬物療法を続け、徐々に薬を減らして最終的には薬をやめる
まずは薬による療法で発作をおさえる
まずは薬による治療でパニック発作をおさえていって、落ち着いたころから精神療法(心理療法)を取り入れるのが一般的な進め方です。
薬にも、種類があります。体の症状をおさえるものから、不安感をやわらげるものなど。
改善の度合いをみながら、どの種類の薬を使用するかを調整していきます。
薬の効き目には個人差も
また、どの薬が効くのかについても個人差があります。たとえば、SSRIという種類の薬でも、「パキシル」 は効かなかったけど 「ルボックス」 は効いた、というようなことは珍しくありません。
とはいえ、効果があらわれるまでに2週間3週間とかかるものもあります。
自分に合っている薬なのかどうなのか。飲み始めてからの状態をしっかりと医師に伝えて、気になることや不安なことも遠慮なく質問して、納得した上で治療を進めていきましょう。
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次に、精神療法も組み合わせる
薬でパニック発作などの症状がおさまってきたら、精神療法も組み合わせていきます。
精神療法とは、自分の思っていることを伝えたり、医師の話を聞いたり、といった対話をとおして治療をしていくもの。
ささいなことでも否定的にとらえてしまったり、卑屈に感じてしまったりすること、ありませんか?
そんな「物事に対するとらえ方や解釈のしかた」を変えることで、ストレスを軽くして、症状を改善していこうというものです。
薬ではないので副作用もありませんし、パニック障害の根本的な原因のひとつであるストレスにも強くなるので、再発を防ぐ効果も期待されています。
以上、治療の進め方や期間についてお伝えしました。
特に、期間については個人差が大きいもの。信頼できる医師とめぐりあえるか、医師を信頼できるか、によっても変わってくるかもしれません。しっかりと話を聞いてくれる医師のもとで、安心して治療を進めていきましょう。
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