HOME > パニック障害と似ている病気
パニック障害と似ている10の病気-それぞれの特徴や違いとは?
パニック障害に似ている病気はたくさんあります。そこで似ている病気の代表的なものとして、次の10の病気についてわかりやすく簡潔に紹介します。
スポンサーリンク
【目次】
1.適応障害
適応障害もパニック障害に似ている病気のひとつ。動悸やめまいなど、症状の面でも共通している部分はいくつかあります。ではどんな点に違いがあるのかというと……
- 発作が起きない? 起きる?
- ストレスの原因がなくなったら改善する? 改善しない?
- 症状があらわれるのがどんな状況なのか、はっきりしている? はっきりしていない?
発作が起こらない
適応障害の場合は、動悸やめまいが起こることはあっても、パニック発作のような発作は起こりません。
ストレスの原因がなくなれば症状が改善する
また、ストレスの原因がなくなれば症状は改善します。もし会社の人間関係が一番のストレスであるなら、転勤したり会社をやめたりすれば、症状は改善します。
しかしパニック障害の場合は、一度発症したら、ストレスの原因が消えてもすぐに改善することはありません。
症状があらわれる状況(場所)がはっきりしている
適応障害の場合は、症状があらわれる状況(場所)もはっきりしています。「会社に行こうとすると症状が出る」、「あのママ友と一緒にいると症状が出る」といったように。
これに対してパニック障害の場合は、場所や状況と関係なく症状が出ます。
パニック障害の人で「電車に乗ると発作が起こるのよ」と思っている人もいるでしょうが、これは実は思い込み。実際には、電車と発作は関係ありません。電車に乗る時はその思い込みから強い不安を感じて、その不安が引き金となって発作が起こるのです。
スポンサーリンク
2.統合失調症
パニック障害と統合失調症は似ている部分も多いですが、統合失調症に特有の症状があったり、あらわれる症状の数が多い点などに違いがあります。
特有の症状があり、その症状も変化していく
統合失調症は病気の経過にそって、前兆期 → 急性期 → 休息期 → 回復期 と4段階があり、症状も変化していきます。
- 前兆期……不眠、焦燥感(あせり)、光や音に敏感
- 急性期……強い不安、強い緊張感、敏感さ、幻覚、幻聴、妄想、興奮、頭が混乱する、誰かに見張られていたり悪口を言われている感覚
- 休息期……無気力、引きこもり、精神的に不安定
- 回復期……無気力さが消えて治癒へむかう
もっとも症状の強い 「急性期」 には、幻覚や幻聴といった統合失調症特有の症状も多いので、区別がつきやすいでしょう。また、不安感や恐怖感はすさまじいものがあり、その点でも区別ができるのではないでしょうか。
行動を起こさない理由はなにか?
そのほか 「行動をおこさない理由がなにか?」 の点でも区別がつきます。
- 統合失調症……「だるくて憂鬱でたまらないから」
- パニック障害……「パニック発作が起きるかもしれないという恐怖で足がすくんでしまうから」
統合失調症は、常にふわふわと現実味がないような感覚でずっと暗い気分なので、行動しない。パニック障害は、発作が怖くて行動範囲がせまくなる。両者は似ているようでとても違っているのです。
スポンサーリンク
3.不安障害
パニック障害と不安障害は並列の関係ではありません。図のように、不安障害の中にはいろいろな病気があって、その中の1つが「パニック障害」ということです。
パニック障害は診断が難しい病気。パニック発作が繰り返しおこっている?、予期不安がある?、広場恐怖はどうか?、体に異常は?、などいろんな方面から注意深く観察がおこなわれたうえで、慎重に診断されます。
次のガイドラインとなる13の症状のうち4つ以上当てはまっているかどうか、もパニック障害かどうかを診断する上でのひとつの判断基準となっています。
ガイドライン
- 動悸がする
- 胸が痛い
- 息苦しく、呼吸がしづらい
- 汗が異常に出る
- 震える
- 窒息するような感じがする
- めまいやふらつきがある
- お腹のあたりが不快な感じがする
- 現実にいるような感覚がない
- 自分の気持ちのコントロールが不可能
- 死に対する恐怖が強い
- しびれるような感覚がする
- 異常に熱い(または冷たい)と感じる
3項目までしか当てはまらない場合は、「全般性不安障害」である可能性も考えられます。「パニック障害に近いですが、パニック障害とまではいきません。」という状態ですね。
全般性不安障害は、言いようのない不安がいつもつきまとっている状態。不安や緊張の毎日で心身が休まらず、筋肉の緊張、肩こり、頭痛、疲れ、倦怠感といった体の症状のほか、寝つきが悪い、眠りが浅い、集中力に欠ける、といった状態にもなりやすくなります。ただ、パニック障害ほどの強い発作はほとんどありません。
スポンサーリンク
4.メニエール病
メニエール病もパニック障害と似ている点が多いですが、特徴的な違いもあります。
一番の違いは原因。メニエール病は耳の異常が原因です。平衡感覚などをつかさどる「内耳」の中にあるリンパ液が増えすぎて、内耳が膨張して圧迫されて……、という『内リンパ水腫』が原因。耳の中を検査すれば異常が見つかります。パニック障害は心の病気であって、耳には異常はありません。
ほかにもメニエール病の場合は、人の声や音楽などの低周波が聞こえにくかったり、平衡感覚が取れないためにまっすぐ歩けずにフラフラしたり、発作の時間も10分から数時間と長かったりと、パニック障害とはいくつかの違いがあります。
5.てんかん
てんかんは脳の病気ですが、パニック障害と非常によく似ている症状があらわれます。
違いについて説明すると、てんかんの場合は次のような症状が特徴です。
- 発作の時に意識が飛んでしまう(気を失う)ことが多い
- 本人の意識のないままに、あちこちへと歩きまわる(徘徊自動症)
- 発作の時間が短い(長くても5分程度)
- 発作が起きている間は、熱い、冷たい、という感覚がなくなる
- 脳波の検査で異常が認められる
なお、発作が起きる直前に感じる「前駆症状」はパニック障害と似ているので、前駆症状を医師に伝えると、脳波の検査をしないままに「パニック障害ですね」と誤診されることもあります。
スポンサーリンク
6.不整脈
不整脈の症状のなかでも、ドキドキと動悸がする、息苦しい感覚、息ができないように感じる、といったものはパニック障害と似ている症状。でも特徴的な違いもあります。それは、不整脈が「体の病気である」ということ。
不整脈は、心臓の動きが不規則になることで起こる病気。期外収縮と呼ばれるもののように、ストレスが原因で起こる不整脈もありますが、狭心症や心筋梗塞といった心臓の病気が原因で起こっている場合もあります。
ですので、心電図などの検査で異常が見つかります。しかしパニック障害は「心の病気」なので、心電図のような検査をしても異常は見つかりません。
7.喘息(ぜんそく)
喘息は、呼吸困難と不安感をともなう点がパニック障害と似ています。
ただし喘息は、体温が低くなる午前2時~5時の間にもっとも起こりやすくなる特徴がありますが、パニック障害は時間や場所との因果関係はほとんどありません。
スポンサーリンク
8.心筋梗塞などの心臓病
心筋梗塞などの心臓病も、動悸がしたり胸が苦しくなったり息ができなくなったりするという点では、パニック障害と似ています。
しかしこの場合は、病院で心電図をとることで心筋梗塞であるかそうでないかが簡単にわかります。心電図をとっても異常が見つからない場合はパニック障害を疑ってみましょう。
9.更年期障害
「更年期障害」もパニック障害と似ている部分があります。
閉経により女性ホルモンが減少することによって起こるのが更年期障害。手足の震え、動悸、ほてりなどパニック障害と似ている症状があらわれます。
ただ更年期障害があらわれるのは閉経後ですので、40代後半や50代の女性。パニック障害を発症しやすいのは20代や30代といった年代なので、ここが大きく違う点となります。
10.バセドウ病
「バセドウ病」も冷や汗や動悸などの症状が出るためパニック障害とよく似ている病気です。
バセドウ病は甲状腺ホルモンが過剰になることによって起きる病気で、眼球が突出したり動悸や息切れが起こったりします。この病気の場合は、血液内科で血液検査を受けることにより判明します。
以上、パニック障害と似ている病気をいくつか紹介しました。
症状は似ているものの原因はそれぞれ違いますし、検査で異常が見つかるものもあります。誤診をさけるためにも、しっかりと検査を受けるようにしましょう。
※参考サイト:厚生労働省 e-ヘルスネット「パニック障害」、「更年期障害」、国立精神・神経医療研究センター~こころの情報サイト「不安症」、「統合失調症」
以上、パニック障害に似ている10の病気についてお伝えしました。
スポンサーリンク