パニック障害の方の妊娠・出産で気をつけたい3つのこととは?
パニック障害にかかっている人は、妊娠・出産において大変な面があると言われています。例えば、薬を飲んでいること、ストレス、分娩中の発作の可能性などです。
そこで、妊娠・出産にはどんなリスクがあるの? 克服するためにはどうしたらいいの? といったことについてお伝えしていきます。ぜひ克服して子宝に恵まれますよう願っています。
※この記事は医師による監修ではありません。当情報をもとにしたご判断や行動はご自身の責任においてお願いいたします。
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【目次】
妊娠・出産におけるリスクとは?
パニック障害にかかっている方で、妊娠・出産において大変な面があるという理由は、大きく分けて3つ。
- つねに薬を飲むこと
- 定期的な通院(バスや電車での移動など)
- 出産時のストレスなどから、分娩中にパニック障害の症状が発生してしまう可能性
また薬を飲んでいるいうことは、お腹の中の赤ちゃんに何らかの影響を与える可能性があるかもしれません。
だからといって、簡単にあきらめることなどできません。筆者にも子供がいますが、いざ生まれてみると、それまでに想像していたものよりもはるかに大きな幸せに満ちあふれています。
そこで、まずはどのようなリスクがあるのかを伝えします。
リスク(1)つねに薬を飲むことの影響
パニック障害の治療法は、まず薬によって症状や不安感をおさえる方法がとられます。
薬には副作用があります。
効果が強いものは副作用も強いですし、効果があらわれるまでに2週間から4週間かかるものもあります。効果があらわれる前に副作用があらわれるものもあります。それでもしっかりと飲み続けることを医師から指示されるでしょう。
副作用がなくても薬を飲むこと自体、体にはストレスがかかっています。ましてや副作用があらわれればなおさらでしょう。
それに加えて妊娠中は、体の変化、ホルモンバランスの変化、お腹の赤ちゃんの無事な成長への心配など、不安も多くなります。
ママの体や心への影響も心配ですが、お腹の赤ちゃんへの薬の影響も心配になってきます。どの薬を飲むのか、飲む量はどのくらいにするか、飲むことによる赤ちゃんへの影響やママへの影響はどのようなものか、医師との間でしっかりと話し合って納得したうえで進めていくことが大切です。
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リスク(2)病院まで通う道のりも不安のひとつ
そして、パニック障害の症状を持っている方が不安に感じることのひとつとして、「受診できる病院が限られてしまう」 というものがあります。
小さな産婦人科では、「もし何かあったら……」、ということで大きな病院を紹介されるケースもあります。そもそも、分娩までおこなっている産婦人科の数自体、どんどん少なくなっています。
もっとも、ママ本人にしてみても、「妊娠中や出産の時に、もしなにかあってもすばやく対応してもらえるから、大きな病院の方が安心だわ」 と思うかもしれません。
ここで問題になってくるのが、大きな病院のある場所。
自宅の近くに大きな病院があって歩いていけるのなら安心なのですが、ほとんどの方は大きな病院までは電車を乗り継いで行くことになるでしょう。
妊娠中は定期的に検診を受けるために病院に通います。ただでさえ電車に乗ることに不安を感じる方が多いので、検診の時や、いざ破水や陣痛が始まって病院に向かう時など、不安とたたかいながら電車で病院に向かうことになるのではないでしょうか。
リスク(3)普通分娩が難しいケースがある
また出産に関してですが、普通分娩にして分娩中にパニック発作を起こしてしまう可能性を考慮して、帝王切開で出産するケースもあるでしょう。このようなリスクを考えると、パニック障害の治療中での妊娠は厳しい面もあるようです。
では、そんなリスクを克服して妊娠・出産するためには、どんな方法があるのでしょうか?
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克服する方法(1)漢方薬の活用
妊娠・出産に関してのリスクをお伝えしましたが、それらを克服して、無事に妊娠・出産するためにはどうしたらよいでしょうか?
まず1つ目は、副作用の少ない漢方薬の活用です。
パニック障害の治療に薬は欠かせないと考える医師は多いでしょうが、妊娠・出産においてはお腹の赤ちゃんへの影響が心配なところ。最近では、薬の副作用による影響を減らすことができるようになってきました。
まず毎日摂取していた薬の量を減らしていきながら、妊娠に影響を与えないような漢方薬に変えていく方法。その上ですこしずつ薬を減らしていって、妊娠してもママにもお腹の赤ちゃんにも影響がほとんどない状態をめざしていく方法です。
そのためには、理解のある医師と一緒に治療に取り組むことがなにより大切。
「妊娠なんて無理だよ。まずは薬でしっかり治さなきゃ!」と考える医師もいらっしゃるでしょう。ママとお腹の赤ちゃんのことを大切に考えるからこそのアドバイスだと思います。
とはいえ、妊娠・出産はいつでもできるものではありません。30歳、35歳と年齢を重ねるにつれ、妊娠する確率も低くなりますし、無事に出産できる可能性も低くなっていきます。
すこしでも可能性のある方法を、と考えるあなたの思いを真剣に受け止めて、一緒に治療法を模索してくれる医師を探しましょう。
※西洋医学の薬も漢方薬も、飲む量、飲み方などは、かならず医師との相談のうえで医師の指示に従ってください。
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克服する方法(2)精神療法(心理療法)を活用
2つ目は、精神療法(心理療法)の活用。
パニック障害の治療法は 「薬による治療」 と 「精神療法」 の二本柱。「精神療法」は、医師との会話を通じて物事のとらえ方、考え方、理解などを修正していくことで、症状を改善していくもの。副作用もありませんので、妊娠中でも安心して治療を受けられます。
たとえば、電車に乗る不安があるのなら、「認知行動療法」。
電車に乗ることと発作があらわれることはなんの関係もない、電車に乗っても発作はおこらない、ということを実際に経験します。その結果、電車に乗っても発作も起きなくなったり、不安が減っていくでしょう。
認知行動療法、支持的精神療法、森田療法、自律訓練法といったさまざまな精神療法をしっかりと活用することで、少しでも早く改善するようにサポートすることができるでしょう。
克服する方法(3)日々の生活の中での工夫
妊娠・出産するためには、医師による治療だけでなく、毎日の生活の中でもいろいろな工夫ができます。
何を食べるか、何を飲むか、どんな運動をするか、朝起きたら何をするか、ご飯を食べる時間はいつがいいか、どんな呼吸のしかたがいいか、どんな音楽を聴くか、など、いろんな工夫ができます。
これらの工夫は、妊娠・出産するために限ったことではなく、心と体の健康のためにどれも大切なこと。ひとつひとつはささいな工夫かもしれませんが、その積み重ねが健康な心と体づくりに貢献してくれるのです。
かかりつけの医師にも、ふだんの生活でどんな工夫ができるか、効果的なのか、アドバイスをいただくといいと思います。
不調を感じるならまず診断
パニック障害に関しては、診察をしてもらって初めて「私はパニック障害だったんだ」とわかるケースがまだまだ多いようです。つまり自分で自覚するのではなく、心や体の症状から 「これは何なのかしら?」 と診察してもらったらパニック障害だとわかった、ということですね。
特に、妊娠・出産を望んでいる場合は、心や体になにか不調を感じたら医師の診断をあおぐことが安心につながります。
パニック障害と診断されたからといって、妊娠・出産を必ずあきらめなければならない、ということではありません。治療法を模索してくれる医師と一緒に治療を進めるとともに、病気についてや薬の弊害についてしっかりと勉強をしましょう。
すこしでも早く無事に妊娠・出産できますよう心より願っています。
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